Weingut Blees-Ferber

Weingut Blees-Ferber
Stefanさんとヘッフェ

2019年9月9日(月)
モーゼル川中流域、ベルンカステルとトリアーのほぼ中間。国道53号線が走るモーゼル川左岸とは反対の右岸に広がる町ライヴェン。この町外れのはずだけどと車でウロウロしていると、あったあった。本当に町の一番端っこ。2つの建物に加え車庫兼倉庫らしき建物がある敷地に、Blees-Ferberの木製の看板を見つけた。周囲は小さなブドウ畑で囲まれている。
車から降りて敷地に入っていくが、さて、どこから入ったものか。とりあえず、正面の建物の大きな木の扉の横の呼び鈴を押してみた。ロックが外れる音がしたので扉を開けてみると、階段を高齢の女性がおりてくる。現在の当主、Stefanさんのお母さんだった。
「Stefanに会いに来たのね。こっちよ」と、もう一つの建物に連れて行ってくれる。
Blees-Ferberは、Stefanさんの祖父母が1964年に立ち上げた。それを引き継いだStefanさんのご両親は、ワイナリーを近代的なものに発展させた。3代目となるStefanさんが当主の座を引き継いだのは2005年。「退屈なワインは造らない」がモットーのStefanさんは、自然な環境を生かし、その起源がブーケ、味、色に反映されるワイン造りを目指している。
お母さんに連れて来てもらった建物には、Stefanさんの事務所があった。お母さんが声をかけると、「今電話中だから、奥の部屋に入っててもらって!」との大きな声。お母さんにお礼を言って、奥の部屋に行くと、そこは白い壁にシンプルな木製の家具で統一されたモダンな部屋。天井からは、銀色に塗られた球形に編まれた籐のシェードがクールなランプが降りている。大きな窓からは遠くのブドウ畑まで一望に見渡せた。8人ほどが着席できそうなテーブルがあり、とりあえずそこに座った。Stefanさんの電話の声が聞こえる。すんごいビジネストーク。月曜の朝のせいか、とても忙しそうだ。立て続けに3本くらい電話をして、Stefanさんがやって来た。
「いやーよく来たね!色んなところを回ってるの?」声が大きくエネルギーを感じる。持っていたワインガイド”Vinum”を取り出し、付箋がついたページのワーナリーを回ってると伝えると、Stefanさんはそれを捌くようにバラバラっと眺め、「面白い!興味深いところを選んでるね」と言った。えっ!今の間に見たの?すごい情報処理能力。
リースリングの辛口を中心にとお願いすると、最初にTrittenheimer Apothekeのカビネトロッケンを注いでくれた。うん。強めの酸がいい感じ。骨格がしっかりとした味わい。
「Apothekeは向こうに見える畑だよ。この辺りではトップクラス」と教えてくれる。
次に同じApothekeのシュペートレーゼファストトロッケン。あっ、これフルーティーだわ。桃というか梨というか、甘いフルーツの香りがする。果実の完熟感も感じられ、同じ畑でもまったく違う味わい。「これはアルテレーベン(古樹)だからね。48歳の樹なんだ」
ふむふむ。そう言われるとアルテレーベンならではの繊細さもあるように思える。
次にNeumagener Sonnenuhrのファストトロッケン。ところで、ファストトロッケンという表記は初めて見たが、日本語に訳すと”ほぼトロッケン”となる。レモンのような酸っぱめの香り。酸味とともにすっきりとした果実味。しかし、よく味わうと後味の苦味も含めて、複雑味がある。いや、美味い。「Neumagener Sonnenuhrは小さいけれど日当たりが良いとてもいい場所にあるんだ。うちの自慢の畑だよ」とStefanさん。
そして、醸造所が単独所有するPiesporter Gärtchenのシュペートレーゼファインヘルプ。これもいいなあ。控えめな少し甘めの香りがいい感じ。酸味と果実味が良く調和した感じでとてもスムーズ。
最後に甘口も飲んでみてよと、銘醸畑Goldtröpfchenのシュペートレーゼ。うーん、甘い。正に柑橘の砂糖漬け。しかし、溶け込んだ酸がとても良く調和しており、必ずしも甘ったるい感じではない。
「甘口も美味いでしょ!うちの甘口は結構良くできてるんだよ」と大きく笑うStefanさん。確かに、Neumagener Sonnenuhrのトロッケンベーレンアウスレーゼは、社団法人モーゼルワインが選ぶエーデルズース部門で、2015年に1位を獲得している。
それにしても、ワインも素晴らしいが、Stefanさんの熱さ、というかエネルギーにもやられた。お礼を言って車に戻り、地図で次の場所に行く道のりを確認していると、Stefanさんが事務所を出て早足で歩いて行くのが見えた。倉庫前に止めてあった大型トレーラーにさっと乗り込むと、エンジンをかけるやいなや、ブオーンと走り去って行った。いや、エネルギッシュ。

試飲したワイン
2018 Trittenheimer Apotheke Riesling Kabinett trocken
2018 Trittenheimer Apotheke Riesling Spätlese*** Arte Reben fast trocken
2017 Neumagener Sonnenuhr Riesling Non Plus Ultra fast trocken
2018 Piesporter Gärtchen Riesling Spätlese feinherb
2017 Piesporter Goldtröpfchen Riesling Spätlese***

畑面積:10.5ha
生産量:80,000本/年
上級畑:Piesporter Gärtchen、Piesporter Goldtröpfchen、Trittenheimer Apotheke、Leiwener Laurentiuslay、Neumagener Sonnenuhr、Neumagener Rosengärtchen
土壌:風化粘板岩
栽培種:90%リースリング、4%ヴァイスブルグンダー、3%シュペートブルグンダー、3%ミュラー・トゥルガウ

ブリーズ・ファーバー醸造所ホームページ

Follow me!