Weingut Stefan Müller

Weingut Stefan Müller
Stefanさん

2019年9月9日(月)
初めてのザール。まだ着いていないけど、トリアーに入ったことを示す標識を通り過ぎたあたりから胸が高まってきた。モーゼル川沿いの国道51号線を走り、トリアーを抜けたところで左折、国道268号線に入る。この2日間べったりと張り付いていたモーゼル川とは一旦お別れ。街を抜け鬱蒼とした森の道を登る。数キロほど走ると、視界が開け眼下に広がるブドウ畑が見えてきた。コンツの谷だ。この辺りは、モーゼル川とザール川の合流地点から南に広がるコンツ市となる。目指すStefan Müllerは、コンツ市のクレットナッハ地区にある。
国道からワイン畑の中を通る道に入り、谷を降りていく。降り切ったところで一つ集落を抜けるとすぐにクレットナッハ地区だ。Stefan Müllerは、この地区に入ってすぐのところにあるはずと車を徐行させる。すると、すぐ、というかほぼ一軒目に、いかにもブドウ農家といった建物。車を降りて敷地に入っていく。建物に近づくと、開け放たれた扉の奥に、箱に入ったワインが積み上げられているのが見える。ここだ。中に入って声をかけると、「こんにちは!」と、当主のStefanさんが 穏やかな笑顔で現れた。
Stefanさんは、この醸造所の3代目。2013年、20代半ばで両親の醸造所を引き継いだ。Stefanさんのやり方は、とにかく自然を取り入れること。両親のやり方をすっかり変えてしまった。雑草は生えるに任せ、肥料も自然由来のもの。厳選したブドウを手摘みし、醸造も天然酵母による自然発酵。奥様のJohannaさんと造るワインは、2013年の初リリース以降、年々評判を上げている。
さて、Stefanさんの案内で、入り口を入ってすぐ、左手の部屋に入ると、そこはテーブルや長椅子が置かれたちょっと広めの試飲スペース。
「実は結構売り切れていて申し訳ないんだけど」と言いつつ、最初に定番のリースリングトロッケンを注いでくれる。ふむ、これは活気がある。酸が効いていてキリッとした辛口。この切れ味と後に残るミネラル感は正にザールだなぁと、なんだか嬉しくなる。
「これは地元のEuchariusbergのブドウで造っているんだ。エントリーレベルだけど美味しいでしょ。で、次も同じ畑のトロッケンだけど、違う斜面で、50年以上経った古い樹から造ったんだ」と、畑名、Krettnacher Euchariusbergを冠したワイン。これもキリッとしている。果実の凝縮感があり、より透明感がある味わい。エレガントというか、繊細さも感じる。
「これはどうかな?タンデムっていうんだけど」と、二人乗り自転車のイラストのラベルが楽しいワイン。あー、これもいいわあ。優しい舌触りで柔らかく果実味が広がる。それでいて力強さもある。タンデムというのは、2013年からの新しいワイナリーのスタートが、Johannaさんとの共同作業であることを意味するそうだ。このワインには、シュール・リーの導入など、2人のアイディアが詰まっているとのこと。
「これも面白いと思うよ」と、注いでくれたのは、ヴァイスブルグンダーのトロッケン。おっ!柔らかい。リースリングばっかり飲んでいるせいか、この柔らかさが何とも美味しく感じる。そして、ぶどうは違うが、リースリングでも感じたシャープさが感じられる。
次はリースリングに戻ってファインヘルプ。あー、これもいい。やはりリースリングは力強い。とはいえ柔らかな口当たりで、若干残糖感のある果実味に溶け込んだような酸が心地よい。
「甘いのも是非」と、Niedermenniger Sonnenbergのリースリングシュペートレーゼ・アルテレーベン。うん、甘いがすごく繊細な味わい。熟したリンゴやアプリコットの味。溶け込む酸が甘みと絶妙なバランスを保っている。
それにしても、どのワインも酸味が強く、シャープだ。自然な果実味を活かした味わいが印象に残る。穏やかそうなStefanさんだが、話をしていると何だか芯の強さのようなものを感じる。一貫したワインの味わいもそんなところから来るのかなと思う。2018年版のゴー・ミョーワインガイドでディスカバリー賞を受賞したStefanさん、ますますの飛躍が期待され、目が離せない!

試飲したワイン
2018 Riesling trocken
2018 Krettnacher Euchariusberg Riesling trocken
2018 Riesling Tandem
2018 Weissburgunder trocken
2018 Riesling feinherb
2018 Niedermenniger Sonnenberg Riesling Spätlese Alte Reben

畑面積:10.5ha
生産量:50,000本/年
上級畑:Krettnacher Euchariusberg、Krettnacher Altenberg、Niedermenniger Herrenberg、Niedermenniger Sonnenberg
土壌:KE/灰色・青色粘板岩、KA/灰色・青色粘板岩・ダイアベース、NH/赤色粘板岩、NS/赤色粘板岩
栽培種:85%リースリング、15%ヴァイスブルグンダー、シュペートブルグンダー等

シュテファン・ミューラー醸造所ホームページ

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