Weingut Borell-Diehl

Frau Annette Borell-Diehl von Weigut Borell-Diehl
Annetteさん

2019年9月12日(木)
南部プファルツ。クラインフィッシュリンゲンから西へ10分程車を走らせると、ハインフェルドの村が見えてきた。781年の文書に言及がある歴史ある村で、当時から現在まで、ワイン造りが村の重要な産業となっている。南側から北方向に伸びる目抜き通りに入る。通りの名前はワイン通り(Weinstraße)。プファルツを南北に縦断するドイツワイン街道の一部だ。通りの建物は、木組みだったり、石造りだったり様々で、窓枠や門にバロック様式やロココ様式の装飾が見られる。いやあ、綺麗な街並み。”Weinort in Barock”の呼称は伊達ではない。
高い塔を持つ教会を過ぎると、左手に立派な門が見えた。門の右側にBORELL DIEHLの文字。ここだ。趣のあるアーチをくぐり、門の中の駐車スペースに車を停める。車を降りると、目を見張った。全面ガラス張りのとても近代的な建物。ガラス張りなので外からでも一目で分かるのだが、中も超モダンな感じで、試飲スペースとなっていた。何だかすごいなぁと思いつつ中に入る。モノトーンで統一された空間。グレーに塗られた壁の一部がワインの飾り棚になっており、そこは金色。いや、カッコいい。黒色で直線的なデザインの試飲テーブルとスツールもその場に馴染んでいる。内装に圧倒されつつ奥のカウンターのところまで進み、ハローっと呼びかけると、奥様のAnnette Diehlさんが笑顔で現れた。

Weingut Borell-Diehl

Borell-Diehlは、1990年、この地で何世代にも渡りワイン造りに携わってきたBorell家のAnnetteさんとThomas Diehlさんの結婚を機に、今の名前で経営を開始した。Annetteさんは醸造家、Thomasさんは醸造家兼ブドウ栽培技術者。2人は、ブドウの栽培から瓶詰めまでを一貫して行うこととし、新しい技術を積極的に導入。そのワインは、年々評価を高めて来た。ご両親から引き継いだ3.5ヘクタールのブドウ畑は徐々に拡充され、今は28ヘクタールとなっている。
さて、試飲。Annetteさんは、グラスを準備しながらワインリストを見せてくれる。ロゼ、白、赤、ゼクトにセッコ、リッターワインにリキュール類と、プファルツのワイナリー らしくバラエティに富んでいる。充実したブルグンダー種を含め、ブドウの種類も多い。何を飲もうかととても悩んだが、リストが充実している白ワインをしっかりいただくことにした。
まずはリースリングのフォム・シーファー。うん、酸っぱさも感じるしっかりとした酸が良い感じ、てか好み。余韻の酸とミネラル感もいけている。
「これはアルテンフォルストという畑のブドウで造っているの。プファルツ唯一のシーファー土壌なのよ」とAnnettさん。
次は同じくリースリングだが、クッパーヴォルフと名付けられたワイン。隣村エデスハイム出身の高名な哲学者ドルバック(Paul Thierry d’Holbach(1723-1789))の生家、Schloss Kupperwolfが名前の由来とのこと。こちらは果実の完熟感が素晴らしい。ボリューム感がある力強いワインだ。柑橘系の果実の香りにミントの香り。酸が効いており、苦味と相まって奥行きのある味わいになっている。
次に注いでくれたのはヴァイスブルグンダーのアルテレーベン。おー、なかなか香り豊か。梨のような果実の香りに白い花の香り。柔らかい口当たりで力強い味わい。活気があるワインだ。
「うちはブルグンダー種の歴史は古いのよ。私の父が1960年代にはヴァイスブルグンダーとグラウブルグンダーの栽培を始めていたの。この辺りでは先駆的と思うわ」と、今度はグラウブルグンダーのアルテレーベンを注いでくれる。うーん、これも香り豊か。熟した梨や桃の香り。柔らかい口当たり。熟した果実味に力強さと共に繊細さを感じる。
そして、もう一つのブルグンダー種、シャルドネのムシェルカルク。黄色い果実の香りに木の香りが混じり合い良い感じ。飲んでみると、ボリューミーで濃密。キリッと辛口で力強い。いや、美味しい。
それにしても、Borell-Diehlのワインはいずれも力強く、活気がある。Annette さんとThomasさんが造りあげてきたものが、見事に結実しているなと感じる。
ところで、Annetteさんには頼もしいお子さんたちがいる。息子のGeorgさんは、ブドウ栽培とワインの醸造を学び、MöwesやRebholz、Wittmannなどで修行。数年前から経営に加わり、今はThomasさんとともに運営責任者とケラーマイスターを務めている。娘のKatharinaさんは、ゼクトハウスでの見習いなどを経て、Annetteさんとともに販売担当だ。また、Georgさんの奥様のChristinさんの内助の功も支えになっている様子。このワイナリー、家族の絆を武器に、ますます発展していきそうな予感。いや、間違いない!

Weingut Borell-Diehl

試飲したワイン
2018 Riesling “vom Schiefer” trocken
2018 Riesling Kupperwolf trocken “Edesheimer Rosengarten”
2018 Weißer Burgunder Alte Reben trocken “Hainfelder”
2018 Grauer Burgunder Alte Reben trocken “Hainfelder Letten”
2017 Chardonnay Muschelkalk Réserve trocken

畑面積:28ha
生産量:270,000本/年
上級畑:Hainfelder Letten、Hainfelder Kapelle、Hainfelder Kirchenstück、Edesheimer Forst、Edesheimer Rosengarten、Burrweiler Schloßgarten、Burrweiler Altenforst
土壌:雑色砂岩、レス(黄土)、レーム、貝殻石灰岩、BA/粘板岩
栽培種:25%リースリング、20%グラウブルグンダー、15%シュペートブルグンダー、10%ドルンフェルダー、7%シャルドネ、7%ヴァイスブルグンダー、5%オーセロワ、5%ミュラー・トゥルガウ、5%ジルヴァーナー、1%その他

ボレル−ディール醸造所ホームページ


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