Weingut Jochen Clemens

Weingut Jochen Clemens
Jochenさん

2019年9月8日(日)
モーゼル中流域、ブラウネベルクとピースポートの間にある小さな村ヴィントリッヒ。町の中心から離れたところを国道53号線(モーゼルワイン通り)からモーゼル河畔方向に入っていくと、その辺りは家と家の間隔が少しあいており、街中とは違った感じ。住所を頼りにこの辺かなと車を降りてみると、キャンピングカーが並んでいるのが見える。Jochen Clemensはキャンピングカー利用者向け駐車場も営んでいるので、ここで間違いなさそうだ。敷地に入っていくとテラスで老夫婦がワインを飲んでいる。ハローって言うと、笑顔が返ってきた。テラスの先の扉が開け放たれた部屋には、バーカウンターとテーブルが見える。その扉の横に呼び鈴を見つけ、押して待っていると、奥の方からJochenさんがにこやかに現れた。
Clemens家は、代々家族でワイナリーを経営している。5代目のJochenさんは、複数のワイナリーで修業をし、1993年に家族のワイナリーを引き継いだ。その後、精力的にワイナリーの近代化と拡張に努め、今ではヴィントリッヒの代表的な高品質ワイン生産者の一人だ。
バーカウンターの奥に立ったJochenさんに促され、スツールに座る。こちらが辛口好きなのを確認し、Riesling Qbaを注いでくれる。ん!これは辛い。がっしりした力強さとシャープな酸が感じられる。ホント、超辛口。はっきりいって好みだ。次に村名ワインのWintricher Riesling 2017。これも超辛口。トロッケンについては糖を余り残さず、しっかりと辛口にするのがJochenさん流なんだと分かる。「年が違うのも比べると面白いよ」と、Wintricher Riesling 2018。確かに、基本は同じだが、こちらの方が華やかな香りがする。「2018年はすごく暑くてブドウが早く熟したんだ。次に畑が違うやつを」と、Dhron Hofberger Riesling。おっ!これは力強い。イチゴのような果実味が余韻に残る。「肉料理に合うと思うよ」とJochenさん。次にファインヘルプ。Grosser Herrgott Riesling Kabinettの2017年と2018年。う〜ん、優しい。口当たりは優しいが、あくまでもしっかりとした果実味にミントのようなニュアンスが感じられる。Jochenさんは、ヴィンテージやテロワールの違いを熱心に教えてくれる。本当にワイン造りが好きなんだなと思う。甘口ワインもいただいた。Grosser HerrgottとDhron Hofbergerのシュペートレーゼ。これも、畑によって全然違う味わいであることがわかる。Grosser Herrgottは香辛料のニュアンスがあり、熟したパイナップルのような味わい。Dhron Hofbergerは甘い柑橘系の香りの中にハーブの印象があり、シロップ漬けの柑橘類のような味わい。いずれも酸が効いていて、甘さとのバランスが絶妙だ。また、複雑味があり、自然発酵を取り入れているJochenさんの醸造法からくるのかななどと思う。
いろいろ話をしているうちに、息子さんが東京に留学していることが分かった。
「何やってんの?」
「大学院で物理学」
「へえー!すごく難しいことやってんだね。彼はワイナリーを継ぐの?」
「さあ、どうかな」
思わぬところでJochenさんが日本に接点があることが分かり、少し嬉しくなる。どうなるかは分からないが、物理学を修めた当主ってのも面白いかもしれない。Jochenさんは、数年前からピースポートで新しい畑の整備に取り組んでいる。そこには190年前のぶどうの木があり、2018年に初めて収穫したとのこと。Jochenさんの探求の道は、まだまだ続く。

試飲したワイン
2017 Riesling Qba trocken
2017 Wintricher Riesling trocken
2018 Wintricher Riesling trocken
2018 Dhron Hofberger Riesling trocken
2017 Wintricher Großer Herrgott Riesling Kabinett feinherb
2018 Wintricher Großer Herrgott Riesling Kabinett feinherb
2015 Wintricher Großer Herrgott Riesling Spätlese
2016 Dhron Hofberger Riesling Spätlese

畑面積:6ha
生産量:10,000本/年
上級畑:Dhroner Hofberg, Wintricher Ohligsberg, Piesporter Treppchen Vorm Berg
土壌:粘板岩、硫化鉱
栽培種:90%リースリング、4%エルプリング、3%ケルナー、3%ヴァイスブルグンダー
BIO

ヨヘン・クレメンス醸造所ホームページ

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