Weingut Sermann

Frau Luzia Sermann von Weingut Sermann
Luziaさん

2023年8月15日(火)
レッヒから国道267号線を西に向かい、アルテンアールを目指す。その途中、マイショスには、1868年に設立された、現存する最古のワイン生産者組合であるマイショス・アルテンアール協同組合がある。ドイツワインに関心を持つようになってから、いつかは訪れねばと思っていた場所だ。マイショスに入るとすぐに協同組合の建物が見えてきた。果たして、その歴史的な建物は、一見して分かる程に2021年の洪水のダメージを受けており、立ち入り禁止となっていた。うーん、残念。ただ、隣の建物ではワイン販売が行われ、多くのお客さんが来ていた。そう、ワインを生産出来ていれば、何とかなる。早期の復興を願いつつその場を去った。これから訪れるWeingut Sermannも、洪水により甚大な被害を受けた。アール川沿いにあるこのワイナリーは、高さ10mの浸水によりほぼ破壊し尽くされ、8万リットルのワインも失われた。程なく、車はアルテンアール入る。洪水から2年以上経つが、壊滅的な打撃を受けたこの街にも、まだまだ多くの傷跡が残っている。アール川を跨ぐ小さな橋を渡ってすぐを右折すると、その通りに目指すWeiugut Sermannがあった。修復された小さな白い建物の扉に、しっかりと”We AHR Open”のサインが掲げられている。扉を開け中に入ると、お約束をしたLuzia Sermannさんが迎えてくれた。あの壊滅的な被害を知っているからこそではあるが、普通に出迎えてくれたことに、何だか感動してしまった。
Weingut Sermannは1936年設立。現当主Lukasさんの曽祖父であるTheo Sermannさんが創業した。Sermann家のワイン作りの歴史は長い。元々はモーゼル地方に住んでいたSermann家は、1744年、アルテンアールの南方約25kmに位置するバルヴァイラーに移ってきた。それから30年ほど経った1775年、Sermann家のJakobさんが、アルテンアール出身でご両親がブドウ畑で働いていたMargareteさんと結婚した。これを機に、Sermann家のワイン作りの歴史が始まったとのこと。そして月日が流れること160年、Theoさんが今の形のワイナリーを立ち上げた。その後、1995年に3代目当主となったKlausさんにより、一つの転機がもたらされる。アルテンアールとマイショスの中間に位置するライメルツホーフェンのワイナリー、Weingut Kreuzbergの購入だ。これにより、所有畑は6ヘクタールとなり、ワインのバラエティと生産量を増やすことにつながった。これが、現在のワイナリーの基盤となっている。その後、ワイナリーはWeingut Sermann-Kreuzbergの名称で営業していたが、2017年に当初のWeingut Sermannの名称に戻った。2014年からKlausさんの元で醸造責任者を務めていた現当主のLukasさんは、新しい手法を貪欲に取り入れ、醸造家としての評価を高めていた。そして2019年、満を持して4代目当主としてワイナリーを引き継いだ。今では、所有畑は10ヘクタールまで拡張している。

WeAHROpen

「ようこそ。何から飲む?」とLuziaさんがワインリストを見せてくれる。まずはベーシックなグーツワインから、シュペートブルグンダーのロゼをお願いした。綺麗なピンク色。チェリーや花のような香り。飲んでみると、とてもフレッシュ。酸味もありスッキリとした印象。いや、これはグビグビいけそうだ。次に、同じくグーツワインから、シュペートブルグンダーの赤をお願いした。グラスに注がれたワインは濃いめのルビー色。チェリーやベリー系の香りにスパイスのニュアンス。うん、良い香り。飲んでみるとしっかりとした味わい。よく溶け込んだ滑らかなタンニンに程よい酸。グーツワインとはいえ侮れない美味しさだ。
次は、いわゆる村名ワインのオルツワイン。ここでフリューブルグンダーも飲みたくなった。マリエンタールのフリューブルグンダーをお願いする。あー、これ香り豊か。チェリーやベリー系の果実の香りに木の香り。Luziaさんが、「これはローゼンベルクという畑に2005年に植えたブドウなの。500リットルの樽で10ヶ月熟成しているのよ」と教えてくれる。濃縮した果実味は柔らかくエレガント。正直に言って、フリューブルグンダーとシュペートブルグンダーの違いを言うのは難しいが、何となく、この柔らかさがフリューブルグンダーの特徴かなあと思う。次は、マイショスのシュペートブルグンダー。うーん、これも香り豊か。ブラックチェリー、ブラックベリーにストロベリー。花の香りにミント、スパイスのニュアンス。口に含むと滑らかな舌触りで濃縮した果実味が拡がる。ミネラル感と程良い酸味がある。いや、美味しい。「このワインは、マイショスのザッフェンブルク城跡の周りに広がるブルクベルクという畑のブドウで造っているの。西向きで午後の日当たりが良いのよ」とLuziaさん。このワインも、500リットルの樽で10ヶ月熟成しているとのこと。
そして、”PHOENIX”の名を冠したシュペートブルグンダー。チェリー、ベリー系の果実の香り。甘いニュアンスがある。スパイスにタバコの香り。飲んでみると、あー、これエレガント。柔らかな味わい。果実味に旨み、酸味が良くバランスしている。「これは2021年の洪水を生き延びた数少ないワインよ。マイショスの上級畑メンヒベルクのブドウで造っているの。洪水後、そのまま木樽で保管していたものを、2022年の5月に瓶詰めしたの。フェニックスの名前は洪水後の復興の願いも込めているのよ」おー、そうなんだ。出来上がるまでに普通とは全く違う道のりを歩んで来ているこのワイン、ある意味とっても貴重だ。

Weingut Sermann

次は、特定の上級畑のブドウから造るラーゲンワインだ。まずはデルナウの畑、シーファーライのシュペートブルグンダー。Ritterの名を冠している。「これは1977年の畑の区画整理後、ガイゼンハイムのRitter教授が植えたブドウなのよ」とLuziaさん。なるほど、名前の由来が分かった。うーん、いい香り。チェリー、ラズベリー、ブラックベリーの香りにスパイスの香り。木の香りも感じられる。Luziaさんが、フレンチオークのバリックで熟成していると教えてくれる。それも、新樽20%、使用2回目の樽40%、3回目の樽40%とのこと。この熟成手法、なかなかのこだわりを感じる。口に含むと、フレッシュでジューシー、そして濃縮された果実味が拡がる。酸味があり、味を引き締めている。そして長い余韻の後半のミネラル感が特徴的。
そして、フリューブルグンダーのアルテレーベンを頂く。「マイショスの畑ブルクベルクにフリューブルグンダーの栽培を再開したのは、私たちが初めてなの。1989年のことよ。このワインの70%はここのブドウ。あとの30%はデルナウの畑ハルトベルクに1998年に植えたブドウよ。どちらも斜面上部の涼しい場所にあるので成熟期間を長くとれるの」そして、樹齢が高いため収量は少なく、35hl/haと教えてくれる。ちなみに、先程飲んだマリエンタールのフリューブルグンダーの収量は60hl/haとのこと。ああ、これも良い香り。ブラックベリー、ブルーベリー、チェリー、プラムの香り。木の香りに枯れ葉の香り、そしてスパイス。チョコレートのような香りも。口に含むと、とても柔らかな口当たり。ドライで濃縮感のある果実味。溶け込んだタンニンの滑らかさが心地良い。「熟成はフレンチバリックで、新樽35%、使用2回目の樽40%、3回目の樽25%よ。収穫の翌年9月に瓶詰したの」そうかー、これもまたこだわりの熟成だ。それにしても、力強く豊か。
最後に、気になっていたロゼ、ジプシーワンを頂く。明るいオレンジがかったピンク色。チェリー、ベリーの香りにハーブの香り。木の香りにスモーキーなニュアンス。口に含むと、滑らかな舌触り。ドライな繊細な果実味が拡がる。味わいは複雑でスパイスのニュアンスや旨みを感じる。いや、美味しい。「これは、デルナウアーシーファーライをはじめとしたうちの5つの上級畑のブドウから造られているの」とLuziaさん。それぞれの畑のブドウから赤ワインを造る際、果汁を一晩マセラシオンした時点で、それぞれの果汁の20%を抜き取り、これで造っているとのこと。いや、それって、むちゃくちゃ贅沢。その後、バリックと500リットルの樽で発酵するのだが、3分の1をマロラクティック発酵するとのこと。とても手の込んだ醸造。複雑で豊かな味わいは、良いブドウと考え抜かれた醸造からなんだと、改めて納得する。
いや、飲んだ飲んだ。いずれも美味しかったが、土壌の特徴を反映したブドウ本来の味わいはもとより、Lukasさんの様々な手法を取り入れた醸造の成果をすごく感じることができた。そして、洪水の影響を感じさせないワイナリーのアクティビティも感じられた。いや、Lukasさん、マジで超頑張ってるよ。復興どころか、フェニックスの如くますます飛躍していくこと、間違いなし!

Weingut Sermann

試飲したワイン
2022 BelloRosé Spätburgunder trocken
2022 Spätburgunder trocken
2021 Marienthaler Frühburgunder trocken
2021 Mayschosser Spätburgunder trocken
2019 Spätburgunder “PHOENIX” trocken
2021 Dernauer Schieferlay “RITTER” Spätburgunder trocken
2021 Frühburgunder “Arte Reben” trocken
2022 Gypsy One Spätburgunder Rosé de Noir trocken

畑面積:10ha
生産量:75,000本/年
上級畑:Altenahrer Eck、Recher Herrenberg、Dernauer Pfarrwingert、Marienthaler Trotzenberg、Ahrweiler Rosenthal、Neuenahrer Sonnenberg
土壌:AE/灰色岩・風化粘板岩、RH/レス・レスレーム・灰色岩、DP/灰色岩・風化粘板岩、MT/灰色岩・レス・レスレーム、AR/風化粘板岩、NS/レス・レスレーム・灰色岩・粘板岩
栽培種:60%シュペートブルグンダー、17%リースリング、12%ヴァイスブルグンダー、7%フリューブルグンダー、2%シャルドネ、1%ポルトギーザー

ゼルマン醸造所ホームページ



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