Weingut Ellermann-Spiegel

Herr Florian Nikolaus von Ellermann-Spiegel
Florianさん

2019年9月12日(木)
プファルツ2日目。高速道路をひたすら南下。起伏がある耕作地が続く。エデンコーベンで高速を降りると、そこは南部プファルツの真っ只中。10分足らずで、目指すクラインフィッシュリンゲン村に到着した。人口300人程度で、この辺りでも小さな村だが、5〜6世紀にフランク人が開拓したのが起源と、古い歴史を持つ。長く(本当に長く)領主がワイン生産者であったこともあり、ワイン造りの歴史も古い。
村に入ると、可愛い木組みの家が散見される。目抜き通りのハウプトシュトラッセからポストシュトラッセに入る。するとすぐに、ワイナリーらしき看板が目に入った。Harald Ellermann Weinverkaufと読める。訪問予定のEllermann-Spiegelとはちょっと違うなと思いつつ、車を降りてみる。門のところにある陳列棚には、確かにEllermann-Spiegelのワインが飾ってある。やっぱここだよなぁと敷地に入ってみると、奥の作業場で10人くらいの人たちが空き瓶をガンガン運んでいる。瓶詰めの準備だろうか。ちょっと声をかけづらい雰囲気。いやー、どこに行ったらいいんだろうなと少し奥に入っていく。すると、右手に小さな建物の扉が見えた。きっとここだと思い呼び鈴を押すと、男性が笑顔で迎えてくれた。今日のお約束をしたFlorian Nikolausさんだった。

Ellermann-Spiegelは、2007年、現当主のFrank Spiegelさんが、継父であるHarald Ellermannさんのワイナリーに加わった時から始まった。Frankさんは、高校を卒業すると、MünzbergとKnipserで修行。その後ガイゼンハイムで学問を修め、さらにはヴァッハウ、ボージョレー、ボルドーで経験を積んだ。満を持してお継父さんのワイナリーに入社したFrankさんは、それまでに培ったブドウ栽培技術と最新の醸造技術を導入。Haraldさんは、それまでは樽ワインを生産し協同組合に販売するビジネスを行なっていたが、Frankさんの加入を機に、高品質ワインを生産し自ら瓶詰めするやり方に転換することを決断した。そんなこんなで、2008年ヴィンテージからEllermann-Spiegelブランドで自社販売を開始。そのワインは、その後驚くべき進化を遂げており、各方面で高く評価されている。
さて、建物に入ると、そこは数組のテーブルと椅子が並ぶ試飲スペース。Florianさんは、「どんなワインがいいかな?」と、ワインリストを見せてくれる。おー!種類が多い。リースリング、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴァイスとグラウのブルグンダー種、ゲヴュルツ、それにオーセロワ。赤も、シュペートブルグンダー、サン・ローラン、ドルンフェルダーなどに加え、カベルネ・ドルサなんてのもある。Knipserもそうだったが、プファルツの醸造家は多くの品種を栽培する。太陽に恵まれた土地柄故かなと思う。そして、リーズナブルな価格設定にも目を引かれた。
やはりプファルツはブルグンダーだよなと、最初にグーツワインのグラウブルグンダーをお願いした。Florianさんは、「うちのグラウブルグンダーは評判がいいんだよ」と笑顔で注いでくれる。おっ、グラウ特有の色がハッキリと出ている。ピンクがかっており、オレンジワインのようだ。熟した黄色い果実の香りが鮮烈。凝縮感のある果実味は力強いが、エレガントさもある。ハッキリ言って美味しい。基本的にステンレスタンクだが、一部はバリックで発酵・熟成しているとのこと。また、澱の上でしばらく寝かせているとのこと。いや、グーツワインといっても手抜きなしだ。
次に、上級シリーズであるゴールドカプセルのグラウブルグンダーを頂いた。これもピンク。綺麗なサーモンピンクだ。梨やリンゴ、メロンの香り。花の香りもする。より上品な感じ。飲んでみると、柔らかい口当たり。とてもジューシーでフレッシュ。何というか、躍動感のようなものがある。余韻の苦味が良い感じ。こちらは、30%をバリックで発酵させているとのこと。
「これ、ぜひ飲んでみて」と、Florianさんはオーセロワを注いでくれる。オーセロワなんて、滅多に飲まないよなと思いつついただくと、これがまた素晴らしい。梨や桃、メロンの香りにハーブのニュアンス。濃縮された果実味は繊細な甘さを伴っている。また僅かな苦味も感じる。いや、ここのグーツワイン、まじ凄いわ。
そして、ゴールドカプセルのソーヴィニヨン・ブラン。ライムやグレープフルーツに、パッションフルーツのような香り。ジューシーな味わいにスパイシーなニュアンスが感じられる。それにしても、どのワインも香りが立っており果実の濃縮感がある。
次に赤ワイン。侮れないグーツワインから、シュペートブルグンダーをお願いした。ラズベリーやチェリーの香りに、湿った草のような香りも。柔らかく、凝縮感のある果実味にタンニンが滑らかに流れる。美味しい。最初にステンレンスタンクで発酵させ、大きな木樽で熟成させるとのこと。
そしてゴールドカプセルのピノ・ノワール。チェリー、ブルーベリー、カシスといった果実の香りに加え、木の香りやコーヒーの香り、また、シナモンのような香りもする。口に含むと、優しい感触がたまらない。濃厚なチェリーの果実味にスパイシーなニュアンスが重なり何とも言えない美味しさ。
「折角なので、これも飲んでみて」と、Florianさんが勧めてくれたのはカベルネ・ドルサ。いや、これ初めて飲むかも。力強い香り。ブラックベリー、プラム、カシスといった果実の香りにスパイスの香り。味わいもパワフル。濃厚な果実味にスパイシーなニュアンス。豊富なタンニンが印象的。いや、美味しい。しかも、これまたグーツワイン。
それにしても、どのワインも明確な味わいで素晴らしい。そんなことを伝えると、「最近、ルフトハンザ航空にも採用が決まったんだ」と嬉しそうに話すFlorian さん。
また、Florianさんは、しっかりとガイゼンハイムでワイン学を修めていることも判明。「Raumlandの日本人ケラーマイスターのKazuyukiは、ガイゼンハイムで一緒だったんだよ」とのこと。いや、まあ知らなくてもいいことだけど、こんなことを知るのも訪問してこそなので、何だか嬉しい。
この10数年で著しく進化したEllermann-Spiegel、今後益々の進化が本当に楽しみだ。

試飲したワイン
2018 Grauburgunder Gutswein trocken
2018 Grauburgunder Goldkapsel trocken
2018 Auxerrois Gutswein trocken
2018 Sauvignon Blanc Goldkapsel trocken
2016 Spätburgunder Gutswein trocken
2016 Pinot Noir Goldkapsel trocken
2016 Cabernet Dorsa Gutswein trocken

畑面積:40ha
生産量:350,000本/年
上級畑: −
土壌:レス(黄土)−レーム
栽培種:リースリング、シャルドネ、ヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダー、ソーヴィニヨン・ブラン、オーセロワ、ショイレーベ、ゲヴュルツトラミナー、シュペートブルグンダー、シラー、サン・ローラン、カベルネ・ドルサ、ドルンフェルダー 他

エラマン−シュピーゲル醸造所ホームページ

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